厚生年金保険適用拡大の効果
①下流老人になる心配が無くなる
出口さん曰く、
「基本的に国民年金保険(月平均5〜6万円)は自営業者の為の保険です。
自営業者に定年はなく一生働けるので年金額が5〜6万円でも生活できるという基本設計になっています。
厚生年金保険(月平均20万円くらい)は被雇用者の為の保険です。
定年になると次の日から無職となり、収入源がなくなる為雇い主と折半で保険料を納めています。
ところが被雇用者の内約1,500万人に及ぶパートタイマーやアルバイトの方々が「中小企業を守る」という美名(?)の下、国民年金に追いやられているのです。
この人達を厚生年金保険に加入させることで『老後の貧困』といった問題の多くは解決できるのです。」
②労働の流動化を促す
出口さん曰く、
「転職できない理由として多いのが、「厚生年金保険が切れるから」だ」そうです。
そうであれば適用拡大で労働の流動化は確実に促進されると思われます。
③第3号被保険者問題の解決に繋がる
まず、第1号被保険者とは自営業者とその家族。第2号被保険者はサラリーマンと公務員。
そして、第3号被保険者とは第2号被保険者に扶養されている年収130万円以下の20歳以上60歳未満の配偶者のことです。
出口さん曰く、
「自分で保険料を支払わなくても配偶者が加入している職場の負担で老後に国民年金を受け取れる制度で、夫婦ともに厚生年金保険料を支払っている共働き世帯や配偶者も国民年金保険料を支払っている自営業者世帯からみれば不公平な制度になっています。
戦後の日本が男性は仕事、女性は家庭という性分業を推進するために設けた制度で、所得税の配偶者控除と並んで女性の社会進出を阻む大きな壁になっています。」とのことです。
④年金財政が好転する
支払者が1500万人も増加するのだから当然の帰結かとも思われます。
⑤ゾンビ企業が消滅する
出口さん曰く、
「中小企業に雇用されているパートタイマーやアルバイト約1500万人を厚生年金に加入させず、国民年金に追いやることで企業が負担すべき社会保険料を負担しないことで、本来退場すべきゾンビ企業を存続させている一面があります。
ゾンビ企業は生き残るためダンピングに走りがちで、その産業全体を安売り競争に導き産業全体を弱体化させます。ゾンビ企業の退場はその産業全体の競争力を高め生産性向上が見込まれます。」とのこと。
ぼくもつくづくそう思っています。
「中小企業を守る」という美名でぼくたちは騙されている
出口さん曰く、「『中小企業を守る』という美名の下、適用拡大は遅々として進んでいないことが日本経済の足腰を弱め、老後の貧困という不安を生み出している。
進んでいない要因は、中小企業の強い反対を受けても国家百年の計のために必要な政策は実行するという勇気を持った政治家がいない。
メディアも『年金破綻』や『老後の不安』は煽るけれど、その解決策は提示しない。」
ぼくもまさにその通りだと思っています。
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