恒なるものは何もない
永遠と信じたこの星でさえ命を持ち
僕が踏みしめるこの大地が今も動いているのなら
人の心が
束の間の恋と移ろいだとしても
それを責める謂れを僕は持たない
昨日まで溢れかえる酔客で賑わっていた酒場が廃虚と化し
今隣りに佇んでいた愛しい人が明日にはその記憶さえも定かならぬとしても
時が刻まれるかぎり
人は去り記憶も風化し森羅万象に死は訪れる
西の西表には真夏の一夜だけに咲く花があるという
その身の美しさも永遠ならざれば
一夜に泡沫と散り
消えていくことでまさにその永遠を手に入れようとするかのようだ
鮮やかに落ちていく花、ハナ、はな...
今は誰もいないこの空虚な空間に
いつか人々の語らいがあり
恋があり
怒りがあり
悲しみがあったことなど誰も思い起こすこともなく
この廃虚に
この場所にまた酔客の嬌声がこだまするのかもしれない
恒なるものはなにもない
あの日永遠と決めた私の一途もいつか私の死とともに
一夜を謳うあの花のように
永遠を求めてうたかたと消えゆくのだろう
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