GLEN DRONACH 12年

お酒の残り香
GLEN DORONACH 12years

そのバーは那覇市の新興住宅街の一角の、とあるテナントビルの2階にひっそりとある。この辺りは先の大戦で日本軍とアメリカ軍が壮絶な戦いを繰り広げた場所で、今もなお戦死者の遺骨が眠っていると聞く。戦後は米軍の住宅街となっていましたが、今は返還され「おもろまち」と言われている官公庁や商業施設、分譲マンションが立ち並ぶあたりです。
前々からそのシックな看板と窓から漏れる白熱灯の薄明りを見上げながら、密かな憧れを抱いていたのですが、ビルの1階はオープンで明るいカフェが全面に広がるものの、通り沿いに案内板があるわけでもなく、ビルの前を通るたびに「どこから入るんだろう」と悩むことひとしきり。
時間が時間だけにビルの周りをウロウロして不審者に間違われても困るし、何度となくビルの2階から漏れる薄明りの下を羨望のまなざしで通り過ぎる日々でした。
そんなある日、国際通りのホテルで会社の宴会があり、2次会に誘われもせず、とぼとぼと歩いてその薄明りを目にしたとき、「ん~ん。もう少し飲みたい!」と意を決して、ビルの階段を探すべく暗がりの中に。
と、唐突に小さなエレベーターホールが現れ、そこに案内板が...2階は「bar RADIO」と書いてあるではないですか。
エレベーターの扉が開くと、そこはもうバーのエントランス。奥からは大人なJAZZが聞こえてきました。恐る恐る中に入り、促されるままにバーカウンターに腰を下ろすと、

「何になさいますか?」
沖縄に赴任して暫くは、寝酒はもっぱら泡盛でしたが、この頃はバーボン。もともと父親の影響でウイスキー党でしたが、近頃トウモロコシの香ばしさが弾けるようなバーボンに入れ込んでいました。でも、スコッチ、特にシングルモルトは未経験。で、
「この店で一押しのスコッチは何ですか?」
「では...」と出してくれたのが、GLEN DORONACH 12年。
これがスコッチか...
初めて飲むシングルモルトのお酒は、甘く軽やかな透き通るような味わいでした。
「シェリー樽で熟成させているから...」
と、マスター。
「シェリー樽??」
これはまた次の課題のようです。

付け足しですが、うちの嫁さんのダイビングの雄姿。まるで魚になったような姿は天賦の才だと思います。

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