1999年8月 北マーレ環礁、ギラバルリゾート
8月13日(金)関西空港12時発のシンガポールエアライン985便は、こともなげに雲の上に舞い上がった。シンガポール経由で約17時間の長いようで短い旅の始まりです。シンガポールのチャンギ空港では、約5時間の乗り継ぎ待ち。
でも、ぜんぜん、退屈しないのが、ここチャンギ空港。免税店は、ちょっとしたショッピングセンターほどもあり、女性の目を飽きさせないし、広々としたロビーはゆっくり休め、仮眠をとるスペースまであります。
でも、やっぱり外に出てみたいという人には、無料で行ける約2時間の市内観光まで用意されています。黄昏のマーライオン...ただし、いまは後ろが工事中でちょっと叙情に欠けるらしい。
チャンギ空港22時35分(日本時間23時35分)発シンガポールエアライン452便で、いよいよモルディブへ。マーレフルレ空港は、インド洋の海の中です。
23時55分、飛行機は珊瑚礁の中の滑走路に着陸。
え、まだ、11時?いえいえ、日本時間では、既に、8月14日午前2時55分なんです。
スーツケースをゴロゴロと引きながら、到着ロビーを出ると、褐色のモルディブの人たちが、ホテルの名前を連呼しながら、出口に集まってきました。
目当てのホテルを見つけて、ゾロゾロと彼らの後をついていくと、いきなり船着場へ。
小さな屋根の向こうには、各ホテルへ僕たちを運んでくれる、クルーザーボートやドーニーがずらり。
楽園は、もうすぐ、そこです。
モルディブ・マーレ空港
この頃のモルディブの場合、飛行機からいきなりターミナル内... なんてことはありません。また、そんな必要もない。 飛行機からはタラップでおりて、ゆらゆらと、歩いて行く。 | |
タラップを降りて、ターミナルビルへ。 インド洋の心地よい風に吹かれながら、わいわいがやがやと、 都会の喧騒は、もうすっかり忘れていた。 | |
ターミナルのエントランスには、案内役の女性職員が立っています。 でも、モルディブは厳しい回教徒の国なので女性は人前に出ることが できません。モルディブで働いている女性は、みんなスリランカなど から働きにきている人達です。 | |
空港の玄関には、こんな看板をつけたリゾートの受付カウンターが ずらりと並んでいます。 大きな声で、ツアー客の名前を呼んでいます。 | |
空港玄関からすぐ前の桟橋に続く回廊。 受付カウンターでチェックインを済ませたら、この回廊を通って、 リゾート島へ僕たちを運んでくれる船まで歩いて行きます。 | |
ターミナルも小さくあっという間だけど、空港前もあっけない。 空港を出てスーツケースをゴロゴロと引いて行くと、これまた 小さな桟橋に出る。小さな島なのだから、当然と言えば、当然 だけど、桟橋には、近隣のリゾートから沢山のスピードボートや、 ドーニーが待っていた。 |
ギラバル
《ギラバル島全景》 まずは島の探検。 とはいえ、見ての通りのちいさな島。 端から端まで、親指2本?! |
8月14日(土)ギラバル初日、8時起床。気分はかなり、ハイ。
カーテンを開けると、僕の瞳に、いきなり眩いばかりに真っ青なモルディブの海が、椰子の木の向うから飛び込んできた。
朝食は、レストランでバイキング。メインは、パン、オムレツ、ウインナー...ミルクに、ジュース。質素です。
白い砂浜。
薄い水色は腰ほどの浅瀬。ところどころに小さな珊瑚が群生していて、そこにも、いろいろな小魚が住みついています。
島の上、濃いブルーの帯は、ドロップオフで、そこからいきなり20メートルの深みになっていて、
そのほぼ垂直な壁は、一面の珊瑚と、おびただしい熱帯魚たちの住みか。
左下のちょっと黒ずんだ部分は、ラグーンの深みになっていて、水深は5~6メートルといったところ。黒っぽい点々は、すべて、珊瑚の群生で、水深といい、珊瑚の量といい、ちょうど良いシュノーケリングポイントになっています。
砂浜にところどころある黒い筋は、砂止めの防砂提で、死んだ珊瑚を重ねて作ってあり、
ここも、魚たちの良い遊び場になっていますが、恐ろしいことにウツボまで、遊んでいることがあるので、十分注意してください。因みに、この夏は、右下に突き出た防砂提の先の岩陰が要注意ポイントでした。
《ギラバル到着》 ギラバルは、北マーレ環礁の西南の端。 ちょうどフルレ空港島の反対側。距離的にも近く、マーレ空港から 20分ほど。モルディブは1島丸ごとリゾートです。 | |
《昼間の桟橋》 小さなリゾートなので、桟橋もこじんまりしています。 帰りには、この桟橋からアルミン達やホテルのスタッフが 見送ってくれました。 | |
《ホテルのロビー》 楽しいことは、すべてここから始まります。 | |
《レストラン》 朝食と晩御飯はここで食べました。バイキング形式のディナーは、 正直質素。 でも、雰囲気はよい。 | |
《バーラウンジ》 ロビーから続くバーラウンジ。 ヨーロッパの人々やホテルのスタッフが毎夜陽気に踊っていました。 でも、日本人はあんまりいないようです。 | |
《ダイビングサービス》 ここは、ギラバル・リゾートのダイビングサービス。 インストラクターは、アルミンさん、ステフィーさんと、 モドさんの3人。 ドアの横のカウンターから、「エクスキューズ・ミー。」と、 声を掛けたら、奥からでてきたのは、アルミンさん。 潜りたいと言ったら、「最後に潜ったのはいつごろですか?」 と、聞かれたので、「一年前。」と、答えたら、 「それじゃ、まずはハウスリーフで、肩慣らしがいいんじゃない。」 とかなんとか、言ったらしい。 まずは、ハウスリーフを潜ることになった。 |
Test dive House Reef
8月15日。
インストラクターのアルミンさんはドイツ人らしい。ドン・ジョンソンを、もっと細くしてスポーツ刈りにしたようなゲルマン人。
一緒にハウスリーフを潜ったのは、ロシア美人のエレナさん。
タンクを背負い、ダイビングサービスから裏の波止場へ。数歩。本当に目と鼻の先から、すぐにエントリー。
波止場の下の浅瀬からシュノーケルで泳いでいくと、すぐにドロップオフになった。レギュレーターを咥えアルミンさんにOKのサインを送り、ロープに沿って沈む。僕の場合はまだまだ沈んでいくという感じ。でも、うちの奥さんはどんどん潜る。潜水艦さながらにさっさと行ってしまいます。
少し透明度が低い。季節の所為らしい。ロープを伝って右へ。壁一面の魚の群れの中を進んでいく。
でも、ちょっと残念。かつてオルベリビューのハウスリーフで見た、透き通るように色鮮やかなペリエな海を想像していたのに、どうも黒っぽい。
あっ、モンガラカワハギが来た。
水温28.6度。視界20m。平均水深11.1m。最大水深19.1m。
ギラバルの風景
《ドーニー》 これで、ダイビングやシュノーケリングに行きます。 最後のダイビングは大変でした。 ものごっつい嵐で、このドーニーが沈みそうになって... | |
地元の人が使っているドーニーです。 一応、エンジンも付いているようですが、 風のある時は、こうして帆を張り風に乗っていくのが、経済的だし、 環境にもいいし...地球温暖化は、モルディブの敵です。 | |
島には、ヨットが何艘も泊められてます。 お願いすると、乗せてくれるみたいだけど、 ちょっと、高いみたいです。 | |
オルベリでのことですが、一度こんなカタマランで近所の島まで、連れて 行ってもらったことがあります。途中に小さな小さな無人島があり、 そこでシュノーケリングをさせてもらいました。 その海のきれいなこと、きれいなこと。 | |
う~ん。絵になるよねぇ。砂浜の端の椰子葺きのパラソル。 みんなこの辺で遊んでます。でも、左の石垣の先には、 こわ~いうつぼが住み着いていました。 | |
小さなプールの横のテーブル。リゾートにある唯一の小さなプール では、よく小さな子供たちが泳いでいます。そんな時、 ここではその母親たちがお喋りの花を咲かせているようです。 |
ギラバルの岸辺
《モルディブの漢気》 カフェテラスのシェフ。アブラハム。 モルディブの人は、大のサッカー好き。彼も、熱狂的なファンで、 2002年には、ワールドカップを見に日本にやってくるのだとか。 | |
《モルディブの真面目》 このリゾートの管理職。の、名前は...ブッチャーだったか、 ブッシャーだったか、アシームだったか... ごめんなさい。忘れちゃいました。 でも、さすが管理職です。とてもまじめ。生真面目です。 | |
島の裏側に行くと、イタリアの人達かな。 ヨーロッパの人達が、のんびりと渚に寝転んでいました。 かれらは、一日中こうしてリラックスしてました。 いいですよね。彼らのバカンスは長いですから。 | |
彼女はシンガポールからやってきた。綺麗な人でした。 一緒の飛行機でしたが、彼女はファーストクラス。 もちろん、僕らはエコノミー。 | |
モルディブは、イタリア人が最初に見つけたんだそうです。 だから、必然的にイタリアの人が多いみたい。 彼らの長いバカンスが羨ましかったなぁ。 | |
彼らは、いつも本を読んでるか、渚で温泉してるか。そして、 たまに潜りに行く。とにかく、ゆっくりゆっくりと 長いバカンスを満喫しているようです。 本当に日本が豊かなのか、つくづく考えされられてしまいます。 |
1st dive Snapper Gallery
8月16日。
水温29.5度。視界20m。平均水深7.9m。最大水深14.8m。
スナッパー・ギャラリーは、ギラバルからドーニーで15分位のところにある珊瑚礁。
インストラクターのmr.アルミンはきょうも渋い。ここはアトール(環礁)の外側の所為か、少し波がある。ドーニーがポイントに着くと、早速順にエントリー。
ロシア人のナイスガイ兄弟、厳格そうなお父さんと中学生くらいの少女。気難しそうないかにもロシア人という感じのご主人と目が大きくて四角い顔の奥さん。海パンの変な奴、エレナさん、そして僕たち。
ところが海に飛び込んだ途端、うちの奥さんが背中で空気が抜けるような変な音がすると騒ぎ出した。
見ると確かに背中の方から、シューシューと変な音が...
ついつい僕も慌てふためき、mr.アルミンに言わなきゃ。と、うちの奥さんを更に慌てさせてしまった。無知な小心者は危ない。でも、飛ぶように泳いでいった奥さんにmr.アルミンは一言、
『No Problem.』
ロシア人たちは、もう勝手に潜りはじめていた。自己責任の世界らしい。
mr.アルミンを斜め上に見ながら、エレナさんの後ろに続く。ぴぃちゃんは少し後ろ。
珊瑚棚の側面を流れるように潜る。やはり、透明度はあまり良くない。
季節の所為。
それにナイスガイ兄弟と海パンの変な奴がシュノーケルを外してぶんぶん振り回すわ、せわしく動き回り穴があったら勝手にはいるわ、ウツボにちょっかい出そうとするわ、
とにかく危ないダイビングだった。
2nd dive Giravaru Corner
水温28.6度。視界30m。平均水深14.8m。最大水深23m。潜行時間46分。
ギラバル・コーナーは、ギラバル・リゾートの南にあり、少しだけ頭を突き出した岩棚に広がる大きなドロップオフ。三日月形に続く渚から、海底までは40~50mくらいとか。殆ど垂直に切り立った岩肌には満天の魚影。きょうのインストラクターは、ケニア生まれのmr.モド。
その彼の指差す方を見ると、海がめが一匹。岩壁にへばりつくように泳いでいた。皆一斉に追いかけ始めた。まず、気難し屋のロシア人夫婦が追いかけた。フランス人のおじさんも追いかけた。僕も追いかけた。勝手に追いかけた。すると、2匹目、3匹目と出現。感激して、また追いかけた。
激しく動いた所為か、初心者のmrs.エレナのエアーが切れてしまい、
mr.モドがエレナをドーニーまで連れて上がることに。
当然こんな場合、インストラクターを待つもの。これが日本の常識と、僕とぴぃちゃんはmr.モドを待つことに。前方を見ると、ロシア人たちの姿がどんどん小さくなっていく。『んっ!』と思ったが、そんな気持ちが彼らに届くはずもない。いつしか、彼らの影が海がめと一緒に遠くの方へ消えてしまった。ドーニーは、頭上に漂っている。でも、mr.モドは帰ってこない。いつまで経っても潜ってこない。
そして、僕のエアーも限界に。残圧が50をきった。『安全停止は3~5m/5分。』のつもりが、7m前後をうろちょろしていたみたい。そして、ゆっくり浮上。
舟に揚がると、インストラクターのmr.モドは器材をとって、すっかりリラックスしていた。
しばらくはくつろいでいたが、ロシア人夫婦とフランス人のおじさんが上がってこない。リラックスモードのmr.モドの表情がだんだん険しくなり、心配そうに辺りを探し始めた。ちょっとやばい?!
僕も探してやった。ぴぃちゃんも探した。
モドの目が光る。そして、ほっとしたように遥か前方を指差して、船頭さんになにか叫んだ。その指の先の方には、いくつかの黒い点が波間に漂っていた。
『Good choice !』
帰りの舟の中、何も知らないフランス人は感激しきりだった。
『おまえら、ええかげんにせいよ。』と思ったのは、僕の間違いだろうか?
1st dive Kuda Haa
8月17日。
水温28.5度。視界20m。平均水深14.7m。最大水深27.7m。潜水時間49分。...暴風雨。
この日は朝から暴風雨。激しい雨と風がビーチに吹きつけていた。かなり、荒れてる。否、凄く荒れている。当然、ボートダイビングは無理。ハウスリーフならなんとかという状態。mrs.エレナたち、余裕のロシア人はあっさりキャンセル。ビーチサイドのコーヒーハウスで寛いでいた。
でも、ショートステイの悲しき日本人の僕達は、きょうが最後ということもあり、
ハウスリーフでもいいからと、強行を決意。
mr.アルミン達は、『それでも潜るか日本人!』と思ったに違いない。エントリーが2人だけだったこともあり、今度は一転、ボートダイビングに行こうということに。
ここで『ラッキー!』と思うところが、かなり軽い?!
Kuda Haa は、『ひょっこりひょうたん島』(ちょっと古すぎる?!)が沈んでるという感じのポイント。まずは、珊瑚礁のトップからエントリー。そこから時計周りに徐々に深みへ。ここは今までとはがらりと違い、色とりどりの珊瑚が根付いていて、右も左も上も下も溢れんばかりの魚の群れ。
と、ナポレオン出現!僕達のことなど全く無視するように目の前までやってきて、岩をかじりはじめた。ゴゴッ、ゴゴッ、と地鳴りのような音をさせ、大きな口をあけて、ちょっと怖い。
うちの奥さんもすっかり興奮。2人して『こ~んな!こ~んな!』と大きく両手を広げて感動しきりでした。
大小ふたつの珊瑚棚の周りを一回りして頂上へ。
ふと見ると、奥さんの様子が変。おかしい。と、どんどん浮上を始めた。あわてて手を掴み、引き戻す。奥さんは、岩に掴まりじっと我慢。mr.モドからウエイトを1個分けてもらい、事無きを得る。
海が荒れたときは、海の中もざわめくので、魚も落ち着かず、いつもは見れないような大物も見れるんだそう。かなり怖いけど、潜った甲斐はあったかもしれない。でも、これも自己責任の世界でのこと。
すぐに業務上過失致死傷などと言い出す日本では、ちょっとできないことかもしれない。
2nd dive Rithi Giri
水温28.4度。視界20m。平均水深14.6m。最大水深21.3m。潜水時間55分。...暴風雨。
午後は、更に大しけ。ドーニーの舳先が波の壁に突っ込む。船尾が水面に沈む。大きな波が次から次と追いかけてきた。僕の顔が青ざめたと思う。船酔いどころの話ではない。生死の問題!
mr.モドは慣れているのか、『かまへん。かまへん。』
うちの奥さんもいたって平気そう。嬉々としている。気が大きい。腹が座っている。度胸がある。
Rithi Giri は、ギラバルからマーレ方向へ10分程行った『ゴミ捨て島』の沖合いの円形の台地のようなポイント。
その周りを時計周りにぐるりと一回り。
エントリーしようとすると、一際大きな波のうねりに、思わずよろけてしまった。海がざわめいている。と、またまた、ナポレオン出現。慌てて写真をとった。
ほぼ垂直に切り立った岩の壁にぱっくりと開いた大きな穴の所で、mr.モドが写真を撮れと合図してきた。黒い大きな影が足元から奥に逃げていった。
ウツボだ。
エアーが50をきったところで、岩棚の頂きの脇で安全停止開始。
それから、沖へ。mr.モドがマーカーを揚げようとするが、エアーが無い。さすがのmr.モドも焦る。なんとか口で咥えて入れようとするが、絶対量がない。mr.モド、更に慌てる。そして、僕らのエアーに手を伸ばした。でも僕には当然無い。
ふと見るとうちの奥さんのエアーが100以上あった。それを確認したmr.モドがマーカーに急いで奥さんのエアーを満たし事無きを得る。
帰りのドーニー、奥さんは舟の柱にしがみついていた。ぼくはといえば、重度の船酔いでダウン。mr.モドは妙に沈んでいた。んっ、鬱か。